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 AGI極振りと言う、最早極限振りに近いが、無残といえば無残なステータス振りからようやく色々と持ち直した時だ。
 だが彼への周りの期待はすさまじかった。当然だろう、一応伝説のプレイヤー(リアル駄目人間)だったのだ。だが彼の現在のステータスを後悔して、彼はまた一つ伝説へと近付いた。

 まさかどちらの世界でも駄目人間に成るとは思わなかっただろう。正直な話をしよう、彼の現在のAGIなら一応目標のボスの攻撃も九割回避可能だろう。

 あと一割当たるけどそこはリアルスキルの出番だ。
 そっちも彼は凄いから伝説と呼ばれているのだが、しかし火力やそれに伴う武器が死滅的に弱い。
 しかも困った事になぜかこのゲーム攻撃速度はSTR、及びINT、LUKとなっている。AGIはひたすらに回避、あとスキルディレイの位だろうか。あとはDEXのはずの命中率もAGIでお情け程度の増える。

 ちなみに彼のAGIは初期振りの1600ポイントにレベルの上がるたび600ずつ増えるのだが、

STR 1700
VIT   1500
INT   1800
AGI   169900
DEX  800
LUK  0

 LUKにいたってはリアルラックと変わりはしない。と言うかAGIは最早別次元である。
 取り敢えず二桁おかしい、大体彼のステータスだとレベル十程度のキャラクターの装備アイテムしか装備できない。
 困った事にAGIは全く不必要なのである。

 ちなみにだがこのゲームでのレベル13位の戦士のSTRやVITしかもって無いと思ってくれればいいだろう。
 つまりアクセサリーのお陰で多少マシな装備が出来ている状況なのだ。しかも彼のレベルは、ボスを千体狩って辛うじてレベル一あがるような代物であり当然の話だが、彼がどう足掻いても、ここから栄光への復帰は不可能である。

 しかもキャラクターのリメイクは出来ない。結果彼に出来るのは弓や使いや銃使い、魔法使いや聖職者といった、後方支援系の壁になることぐらいだ。
 だが正直な話このゲームで彼を傷つけられるのは、GMぐらいのもんで他のやつらに傷つけられる事も無い。
 ある意味無敵のままではあるのだ。最も誰もこんな立場になりたくはないが。

 まーある意味有名になり、周りからの失笑と同情が突き刺さる事になった彼は、一人初心者達の養殖に励んでいた。
 しかしそれでも簡単に出られるとは思わない。一度彼は、ラスボスを見に行った。基本ダメージが当たらないから、相手がどんなスキルをもているのかを調べに行ったのだ。
 ちなみにこの情報はその日のうちにこのゲームに流された。

 だがそれでも死ねば確実に死ぬといわれている状況で、無傷の勝利を考えるには、ひたすらに強くなる必要がある。
 実力だけはあるもんだから、質のいい狩場やモンスター知識などでアドバイザーになっていたが、半年も過ぎればここもいいところだと、諦めるものや、自暴自棄になってPKにいそしむチャレンジャーもいた。

 もし出られたら君たち殺人者ですよといいたいが、もうでられないんだーとか言って大暴れ。それに対抗するように、一部の正義ロールプレイヤーが、PKKをしたりと大暴れである。
 どっちも買わんねーよと言うのが彼の持論だが、一人殺される事も泣くのうのうとできるやつに誰も言われたくない。

「よし俺は避ける、君達頑張ってくれ」

 彼の声と共に、魔法や遠距離攻撃は雨の様に降り注ぐ。アクティブ系のモンスターが湧かないところとは言え悲惨すぎる。
 魔法での攻撃、1のダメージが画面中に乱舞する。それこそ無残なほどに、当然彼も攻撃しているのだか、当然1しかもそれほど早くないので微妙だ。

 ただモンスターの攻撃だけは彼に集中している。しかも攻撃しているだけでレベルの上がるような低レベルキャラクターを育成し続けていた。
 そうやって彼は半年ほど過ごしてきたのだが、そんな事をしていたらいつの間にか、自分より強い奴らの養殖をするというわけのわからん状況にまたなった。

 しかもこの頃のになると理解さえ出来ないが、脱出よりPKと通常プレイヤーの戦闘のほうが多くなっていた。しかもこのゲーム困った事に、入る事は誰でも出来るのだから、状況が気になる人間などは入っていくる事が多くなってきていて、しかも自分で入っておきながら自暴自棄になってPKギルドなどに入り大暴れ。

 全くフリーダム過ぎる状況だ。あと政府に選ばれた人間とかも結構殺されてたりする。
 出れたらこのプレイヤーたち一体どうなるのか理解できません。

 さらにそれから一ヶ月がたつころには、通常プレイヤーにも派閥が出来てそこで戦争。
 お前ら本当にいい加減にしろといいたい。

 ちなみにだが派閥は二つ、その一つを法の派閥、そのトップを【光輝の刃】のリアルに出たら卒倒しそうな二つ名を持つゴン。
 そしてもう一つを混沌の派閥、そのトップを【約束を貫くもの】また悲惨すぎる二つ名を持つマリガル。
 まー覚えていても無駄だがPK派閥、全部むごいがその中でもえげつない忌み名【死体を踏み鳴らすもの】を持つエッジ。

 その三つの組織が争いを繰り広げている。主人公はひたすらに養殖。
 実は上の三人は、下は同じギルドの人間だったりするのですが、そのギルドマスターはひたすらに養殖をしている彼なので特にいミア張りません。
 だって回避だけで求心力無いですからね。
 
 ある意味彼の所為ですが、運が悪いだけで特に彼が悪い事をしたわけじゃないのが何か余計むかつきます。
 けれどその派閥間戦争が激化を増した頃、取り敢えず自分にできることは養殖だけと思っていた彼は、ひたすらにそれだけやってました。と言うか、何で彼は無駄に一生懸命養殖しているのか疑問が残ります。

 それもひと段落着いて、いつものように都市ロイヤにあるホームに休みに向かっている時。

「あなた、なぜ今この状況なのに、かつてのギルドメンバーを止めないんですか!!」

 彼に話しかけてくる一人の少女がいました。

「何で皆で力を合わせて、ここから脱出しようといわないんです」

 と言うよりそれは怒りに任せた罵倒です。
 彼の作ったギルドは、二百五十以上のプレイヤーだけが入れる最強のギルドでしたが、所詮力だけでギルドマスターも変わるようなところだったので、強さが基準でそれ以外の論理は無く。
 力を失った彼に発言権などある筈もなかったのです。

「大変遺憾に思います」
「そう言う事を聞いているんじゃないんです。あなたなら止められるでしょう」
「それは無理なプロミス」

 リアルじゃどうかわからないが、それなりに可愛い子が彼を睨みつけている。
 怒りに染まった表情に、特に好感度などは上がる事など無い。むしろキンキンと喚く声で好感度は下がる一方だ。

「意味がわかりませんよ。あなたは彼らを止める権利がある」
「わけない!!」

 常識を考えても彼らを、彼が止める事は不可能だ。
 強くないけど殺せ無いと言う訳の分からん悪循環を持つ彼が、彼らと会話ぐらいはする事は可能だろう。

「自分で止めてください、無理です。あいつら俺の事、昔っから嫌いだし」

 凄まじい求心力の無さだ。
 流石リアル駄目人間である。

「ネカマに成ったまま、生きていて最近不思議と女言葉になる私の責任を取ってください」
「よかったね、出られたらニューハーフだ」

 そのあと唖然とする見た目少女から脱兎の如く逃げ出した。忘れていたが、AGIは移動速度にも影響があった。 
 これで撤退はお手の物だ。こうまで受け身な能力があったかと思うような悲惨な形だ。
 そういえばいい忘れていたが彼の半年の努力は彼に、麻痺攻撃、毒攻撃、目晦ましのスキルをマックスでとりました。

「俺悪くないのに」

 リアルラックの低さには定評がありすぎる彼だ。
 必死に逃げ出し枕を涙でぬらしたって悪くは無い、ちなみに彼が次に目指しているのは、毒の効果倍増のスキルである。その次は罠系となっています。

 もう彼の姿は涙なしでは見る事が出来ないレベルに成りつつある。